刑事ゼロ 最終回 刑事の罪と誰かに罪を与える権利とは?
最終回となる第10話。先週から引き続きの話ですが、真犯人は誰なのでしょうか?そして時矢の記憶は果たして戻るのか?
「刑事ゼロ」概要
テレビ朝日系列木曜21時「木曜ミステリー」枠で放映中の「刑事ゼロ」。
記憶喪失になった時矢暦彦(沢村一樹)が、相棒の佐相智佳(瀧本美織)と一緒に事件を解決していくストーリーとなっています。
主なキャスト
第10話ゲスト
あらすじ
ネットニュースの記者である外山が自殺し、部屋を調べるとこれまで5件の事件は全て自分が起こした犯罪で、能見に罪をなすりつけたという遺書が出てくる。これが事実だとしたら能見は誤認逮捕となってしまう。
そんな時にネットでこの遺書が公開されてしまう。ことの真意が分からないまま、能見は処分保留となり、釈放されてしまう。能見が自殺する直前に告げた言葉が分かれば、この後能見が起こす犯行が分かるかもしれないと、懸命に記憶を呼び戻そうとする時矢だが、なかなか思い出せない。
その頃、能見がいた留置所の看守から連絡があり、壁に彫られた文字の意味がタロットカードの番号であることがわかる。そこにはまだ起きていない第六の犯行を示す13の番号が彫られていた。
見どころと感想
真犯人が誰なのか?一転二転するお話でした。また、なぜこの一連の犯罪は起きたのか?実行した者たちそれぞれの理由は救済でした。
彼らの共通点は犯罪被害者であり、犯罪者が罰せられることなく死亡してしまっています。やり場のない怒りや悲しみを抱えて生きることから、救って貰いたいと思って実行します。
贖われることのなかった罪に“罰”を与えること
それこそが唯一この世界を正しい方向に導く秩序となる
大切な人を奪われた者は、その相手に罰を下すことが許される
しかし罰を下すべき相手がその前に死亡した場合、
あなたには“誰かに罰を与える権利”が一つ付与される二人なら二つの権利…
相手は誰でもいい、数こそが秩序であるのだから
これが彼らの「ルール」です。
それに従い、彼らはそれぞれ行動をします。
- 能見は母親と姉二人を殺され、犯人は近所の山に逃げるが、逃げ切れないと判断して自殺=権利3(7戦車・3女帝・12吊るされた男)
- 外山の両親はトラックとの事故で死亡し、事故を起こした運転手も病院に運ばれてその事故が原因で死亡=権利2(6恋人・16塔)
- 藤林は通り魔事件で旦那が死亡し、駆けつけた警官により射殺されて犯人は死亡してしまう=権利1(13死神)
- 草葉はストーカーに妻と娘を殺され、犯人はその後に死亡している=権利2(2女教皇・?未遂)
能見は時矢をビルから落とす前、こういいます。
「司法警察の役割は殺人者を追い詰め
殺人者を裁き殺人者を吊るす事だろ。
なのに人殺しを 全て もれなく捕まえ
法の前に引き出せないなんてどんだけ無能なんだよ。
俺たちを生んだのは…あんたたち 刑事の罪なんだよ。」
これは本当に警察の罪なのか?憤りをぶつけることができない犯罪被害者としては、どこかに感情をぶつけたいと思うのは仕方がないのかもしれません。
しかし、能見や草葉はむしろ「数の秩序」を優先し、犯罪を起こすことに意味を見出していたような気すらします。
警察が犯人を捕まえられない×犯罪被害者が復讐する=刑事の罪
こういった方程式の下、彼らは犯罪を正当化しますが「権利」を持っている人に、自らを「救済」して貰うために罰という形で殺して貰います。
この理屈でいくと、彼らが殺した(殺されても仕方がない犯罪者)の近辺の人が、今度は「権利」を得ることになります。草葉がその人たちを除外するなら別ですが、そうでなければ、世の中は全て「権利」持ちになりそうな予感です。
刑事ゼロというタイトルに引っ張られ、タロットの意味の予想を先週したものの、結局使われたのはパスワードとしてでした。マヌケな予想でした。
余談ですが、今回の話に登場した事柄を少し調べたので記載しておきます。
「郵便配達員は物語に登場していても、印象に残らない存在として容疑者からは外される」はブラウン神父シリーズの「見えない男」。
「歴史は繰り返す 一度目は 悲劇として 二度目は喜劇として」はカール・マルクスの言葉。
まとめ
今回で刑事ゼロは終わりです。が、恐らく次のシーズンがあるような気がします。そんな感じの終わり方でした。テレビ朝日のドラマは本当にコンテンツを育てるのが、他局よりも上手だなと思います。原作付きの話を基本的にはやらず、優秀な脚本家の人を押さえれるというのが条件だとは思いますが。
このドラマが次シーズンあるなら、自分は見ようと思いました。ちぐはぐなところもあったりはしますが、平均値が高い内容だと感じました。
そこに罪がある限り…俺たちは刑事で居続けるしかないんだ。